切削加工機メディア~切削ナビ~
公開日: |更新日:
切削加工をした際に、平面に見えていても表面粗さが起きている場合があります。ここでは、表面粗さの原因と対策について紹介します。自社のニーズに合う切削加工機を選ぶためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
切削加工をした製品の表面は一見平面に見えていても、目視では確認できないような高さや深さ、また間隔の異なる山や谷が連続していることがあります。このような連続する微小な起伏が「表面粗さ」です。
表面粗さの大きい表面は触るとザラザラし、光の反射も鈍くなります。一方、表面粗さが小さい表面はツルツルしていて、鏡のように光を反射。表面粗さは、外観の品質を管理する上で重要な指標となります。
表面粗さの原因として、切削パラメーターがあります。切削の送り速度が早かったり遅かったり、切屑のかみ込みなどが発生すると表面粗さの原因になることも。送り速度と角度を調整するなどの工夫が必要となります。
切削工具が摩耗していた場合などは切れ味が悪くなり、設定されたすくい角を実現できなかったり、摩耗した工具の表面性状が材料に転写されてしまったりすることがあります。その結果、表面粗さが悪化することに。また、切削工具に構成刃先が発生してしまった場合も切削加工を繰り返すうちにすくい角が変化してしまい、表面粗さが悪化します。
金属同士を組み合わせる場合、表面粗さが大きいと表面に摩擦抵抗が生じてしまいます。その結果、機械のすべりに支障をきたす場合も。また、組み合わせた金属の間に生じる隙間が広がり、気密性や油密性が悪くなります。
金属を滑らかに磨き上げると金属光沢が発生します。一方、切削時の表面粗さが大きいと金属光沢が失われてザラザラとした質感に。あえてザラつきのある質感を狙って加工しているのなら問題ありません。しかし意図していない場合は、表面粗さが影響して見た目が悪くなってしまうため注意する必要があります。
表面粗さが悪いと、寸法公差が大きく追加工の取り代がなくなるケースがあります。加工不良となってしまい、追加工を行わなければいけなくなるかもしれません。
表面粗さの悪化を防ぐためには、適切な切削工具を選定する必要があります。コーティングされた工具を選べば構成刃先の発生を抑えられるでしょう。
また、インサートのコーナRを小さくすることで切削時の抵抗を抑えることが可能です。すくい角を大きくすれば、工具の摩耗の抑制にもつながります。
送り量を大きくすると一刃あたりの加工量も大きくなり、表面粗さは悪化します。送り量を小さくすることで、表面粗さを抑えることが可能です。ただし加工速度が遅くなるため、生産性への影響を考える必要があります。
また、切削点の冷却を行うことも有効です。構成刃先は切削点の温度が上昇することで発生しやすくなるため、クーラントなどを使用して温度の上昇を抑えられれば表面粗さの悪化を防止することができるでしょう。
表面粗さが発生するのにはさまざまな要因があることが分かりました。しかし、工具の選定や切削条件によって対策することが可能です。表面粗さをコントロールし、付加価値の高い製品づくりを目指しましょう。
関連ページ
切削加工機の基礎知識