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金属加工にはさまざまな方法があります。その中でも「切削加工」と「研削加工」は似ている加工法として認識されやすいですが、それぞれ異なる加工法です。
ここでは切削加工と研削加工の説明や違い、そのほかの加工法について紹介します。
切削加工とは木材や樹脂、金属などの材料を、文字の通り切ったり削ったりして欲しい形状を形作る加工方法のことです。使用する切削加工機には、旋盤やフライス盤、マシニングセンタ、NCルータなどなどさまざまなものがあります。
切削加工では金属に穴を開けることや穴を広げることも可能。また、ネジを切ったり内径や外径を削って必要な形に加工したりすることもできます。刃物で材料を削る加工法となるため、切り屑が出る特徴があります。
メリットは、大きさや厚さ、形状を自由に加工できること。近年はコンピュータ制御で精密な加工も容易に行えるようになってきました。デメリットは、1つの製品を製作するのに時間が長くかかること。そのため大量生産には不向きです。また、切り屑が無駄になることを含め、コストは割高になります。
研削加工とは高速で回転する砥石を用い、砥石の硬く微細な砥粒によってによって材料の表面を削り取っていく加工方法のこと。製品を美しく仕上げるための研磨加工です。砥石には切削加工用の砥粒が用いられます。
メリットは、硬すぎて切削加工が難しいとされる金属の削り取りが可能なこと。砥石切刃は非常に硬い鉱物質の粒子のため、切削工具では削れないほど硬質な材料でも簡単に削れます。また、陶磁器など脆性材料でも加工が可能です。
デメリットは精度を保つため、定期的に砥石を削る必要があるということや、砥石が回転しているときに製品を落としてしまうと巻き込んでしまう場合があることなどが挙げられます。また、研削作業中研削点の温度は1,000度以上と非常に高温のため、研削焼けや割れが生じないように性能のよい研削液で十分に冷却する必要があります。
切削加工と研削加工はどちらも不要な部分を除去する除去加工になりますが、工具や加工方法、精度に大きな違いがあります。
切削加工ではバイトやエンドミル、ドリルなど切削工具を使用して穴あけや面削りといった加工を行います。比較的短時間で複雑な形状に加工することができ、工具を使い分けて仕上げ加工まで行います。
一方、研削加工は砥石を使用します。ダイヤモンドホイールやCBN砥石を被削材に押し当てて、表面を少しずつ削り取る精密加工です。切削と比べると一度の加工での除去量が小さいため、切削加工よりさらに寸法精度や面粗さが細かくなります。主に高精度な仕上げ加工として行われることが多いです。
最近では、機械のNC(Numerical Control、数値制御)化や工具の進化によって切削加工と研削加工の精度の差は小さくなりつつあります。研削加工にとっては脅威を感じるかもしれませんが、寸法公差や幾何公差が0.005mm未満だったり、焼き入れが必要なものだったりする場合など、研削加工が活躍する場面はまだまだ多いでしょう。
研磨加工とは、対象物の細かな凹凸を削って表面を滑らかにする加工法のこと。表面の粗さを細かくして精度を高めたり、ツヤを出したりするのが目的で、加工の仕上げ段階で使用されます。砥粒の材料には、ダイヤモンドが使用されることも。光沢を出して外観の向上が得られるだけではなく、表面の微細な精度調整にも役立つ加工です。
ともに砥粒が作用して材料の表面を削って除去する加工のため研削加工と混合されがちですが、研削は回転する砥石の表面にある砥粒によって対象物を削り取るのに対し、研磨は流動する粒子を用いて対象物の表面を細かく削り取ります。研磨は表面を滑らかにしてつや出しすることが目的であり、研削は削り取って形を変えるのが目的です。このふたつは、削り取る速さや量、加工の目的で区別しましょう。
目的によって選択すべき加工方法は変わります。切削加工と研削加工は、名称は似ていても異なる加工法です。加工法は目的に応じて適切なものを選ぶことが重要です。
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