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切削加工をスムーズにすすめ、かつ品質を維持するためにも、できるだけ加工不良が起こらないようにしたいところです。ここでは、切削加工において起こりうる加工不良と、その主な原因5つについて解説しています。自社のニーズに合う切削加工機を選ぶためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
図面に記載されている指示内容通りに、製品を仕上げられない状態や、切削加工自体を一旦中止しなくなったりする状態などを、加工不良といいます。図面通りに加工ができないということはつまり、精度や外観のクオリティーが落ちるわけですから、理想とはかけはなれていることになります。また、加工のやり直しが必要になるため、工数もかかってしまうので、大きな問題です。
ぜひおさえておきたい、加工不良発生の主な原因をみていきましょう。
切削をおこなっている時に発生する金属の切りくずを、切粉とよびます。切削加工において切粉が発生するのを避けることはできません。ただ、切粉をそのままにしておくと、ワークや工具に巻き付き製品にダメージを与えてしまうなど、加工不良の原因となるので、排出が不可欠です。
送りを上げて切りくず処理の改善をこころみる場合には、まずは低送りからスタートしてチップの安全性や加工面品質を確かめるようにしましょう。切り込みについては、ノーズRより大きくするようにします。チップの径方向へのたわみをおさえることが可能になります。
また、ワークを交換する際には、切粉を噛み込んでしまうことで加工不良が起こるリスクがあります。さらに、穴加工時においては、切粉が詰まってしまうと、ドリルが折損する可能性もゼロではありません。
切削加工の作業中に、断続的に起こる振動のことを、ビビリと呼びます。ビビリが起こると、機械もダメージを受けることになります。破損したり故障したりする前に、早めにビビリへの対応策を講じておく必要があります。
切削工具の刃先に発生する、ちょっとした「欠け」を、チッピングと呼びます。チッピングが起こると、刃先は一部が欠けてしまっている状態になります。切削加工においては避けられない現象ですが、できるかぎり早くチッピングを見つけることが大切です。加工をほどこしたワークの仕上げ面が、梨地のようにあまり光沢がない状態になっている場合などは、特に注意が必要です。
チッピングをそのままにしておくと、機械の作動が停止してしまう可能性もあります。また、チッピングが生じやすい要因として「機械への取り付けがあまい」「刃物の材質が不適正である」「構成刃先が発生している」「負荷が大きすぎる」などが挙げられます。靭性が高くて構成刃先が起きにくい材質の刃物を選ぶなど、刃物選びを見直すなどの対策方法があります。
バリとは、切削加工の際に発生する金属の「かえり」のことです。そのままにしておくと、次工程で問題が発生しやすくなります。さらに、作業者がケガを負うなどの深刻なトラブルを引き起こす可能性もあるので、バリ取りは確実にしておきましょう。
高い圧力と摩擦熱が加工時に発生することで、刃先の先端に切粉が溶着する現象のことを、構成刃先と呼びます。構成刃先のまま切削を続けると、チッピング発生の原因にもなりかねません。延性材料軟鋼や黄銅、アルミニウム、ステンレスなどといった延性材料の場合、どうしても構成刃先が起こりやすいです。
切削加工において発生しうる加工不良。複数の条件や原因がからみあっていることがわかります。金属素材や工具の特性に関する理解を深めた上で、自社のニーズに合致する加工法や加工機を選ぶことが大切です。また、現場での工夫や作業プロセスの見直しなどをおこない、加工不良が起こりにくくなるような環境づくりも求められます。
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