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医療・福祉用具

医療・福祉業界では、高度な安全性と個々の身体に適合するカスタマイズ性が重視されます。本記事では、医療機器や福祉用具における切削加工の役割を解説。難削材に対応するマシニングセンタや、PP・EVA等の樹脂加工に有効なNCルータなど、用途に応じた加工技術と設備選定の考え方を紹介します。

医療・福祉業界における切削加工の役割と重要性

高精度と安全性が品質に直結する医療分野

医療機器の製造において、加工精度の高さは患者様の安全性や治療の成果に直結する極めて重要な要素となります。わずかな寸法誤差や表面の粗さが、機器の動作不良や衛生上のリスクを招く可能性があるため、製造工程には極めて厳しい管理が求められるでしょう。切削加工は、金型を必要としない工法であるため、設計変更にも柔軟に対応しながらミクロン単位の精度を実現できる点が大きな強みと言えます。また、金属だけでなく特殊な樹脂材料も扱えることから、多様化する現代医療のニーズを支える基盤技術としての役割を担っています。常に進化を続ける医療現場において、信頼性の高いパーツを安定して供給し続けることは、産業全体の発展に寄与する有意義な取り組みであると考えられます。

個別ニーズ(パーソナライズ)への対応が求められる福祉用具

福祉用具の分野では、使用する方一人ひとりの身体状況や生活環境に合わせた「個別最適化」が何よりも優先される傾向にあります。既製品では補いきれない細かなフィット感や操作性を実現するためには、一点ものに近いカスタム生産が日常的に行われているのが現状です。このような多品種少量生産の現場において、プログラムによって柔軟に形状を作り出せる切削加工技術は、非常に相性が良い手法であると評価されています。義肢や装具のように複雑な曲面を持つ製品であっても、デジタルデータから正確に削り出すことで、製作者の意図を忠実に再現することが可能です。利用者のQOL(生活の質)を向上させるために、個々のニーズに寄り添ったものづくりを支える技術として、切削加工の重要性は今後もさらに高まっていくでしょう。

医療機器における切削加工の主な用途と目的

手術器具・診断装置用パーツの精密加工

手術に使用されるメスやピンセット、あるいは高度な内視鏡部品などは、非常に複雑で微細な形状を有しています。これらの器具には、繰り返しの滅菌処理に耐えうる耐久性と、術者の意図を正確に伝えるための精密なバランスが求められるのが一般的です。切削加工を用いることで、ステンレス材やチタン材であっても、細部まで精緻に仕上げることが可能となります。また、CTやMRIといった大型の診断装置においても、内部の駆動ユニットやセンサーの固定具など、高い剛性と精度を両立すべき部品が数多く存在します。装置全体の信頼性を担保するために、一つひとつのパーツに対して妥協のない切削技術が投入されており、高度医療の進歩を陰ながら支える大きな力となっていると言っても過言ではありません。

生体適合部材(インプラント・人工関節等)の製作

人工関節やインプラントのように体内に埋め込まれる部材には、生体適合性に優れたチタン合金やコバルトクロム合金、あるいはPEEK材などの特殊な材料が採用されます。これらの材料は難削材として知られており、加工時には工具の摩耗や熱による変形を最小限に抑えるための高度な技術力が必要とされるでしょう。切削加工であれば、患者様のCTデータ等を基にしたオーダーメイドの形状を直接削り出すことができ、より身体に馴染みやすい部材の提供が可能となります。表面の滑らかさや形状の正確さが、術後の経過や長期的な耐久性に影響を与えることもあるため、非常に高い品質管理基準が設けられているのが特徴です。人々の健康寿命を延ばすための先端技術として、高精度な切削加工は医療の最前線で欠かせない存在となっています。

福祉用具における切削加工のニーズと特徴

義肢・装具の製作における軽量化とフィット感の両立

義足や義手、あるいは身体の動きをサポートする装具の製作においては、長時間装着しても疲れにくい「軽量性」と、違和感のない「フィット感」を両立させることが大きな課題です。最新の製作現場では、石膏による手作業の型取りに代わり、3Dスキャナで計測したデータを基に芯材を削り出す手法が普及しつつあります。切削加工によって不要な肉厚を削ぎ落とし、必要な強度を保つつつ最小限の重量に抑える設計は、利用者の負担軽減に大きく貢献するでしょう。また、身体の曲線に完璧に合わせた形状を再現することで、摩擦による痛みや不快感を軽減する効果も期待できます。個人の身体特性に徹底して合わせ込むプロセスにおいて、数値制御による正確な削り出し技術は、職人の経験を補完し、より高品質な製品づくりを可能にしています。

PP・PE・EVA等の樹脂を用いた個別カスタム加工の利点

福祉用具には、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)といった、軽量で柔軟性のある樹脂材料が頻繁に使用されます。これらの素材は肌当たりが良く、耐薬品性にも優れているため、入浴補助具や姿勢保持クッションなどの製作に適していると言えます。切削加工、特にNCルータを用いた加工では、これらの柔らかい樹脂材を高速かつ正確に切り出すことができ、複雑な輪郭形成も容易に行えるのがメリットです。金型を作製する必要がないため、試作や一点もののカスタム製作においてもコストを抑えつつ迅速に納品できるという利点があります。利用者ごとに異なる体型や座位保持のニーズに合わせ、柔軟に形状を調整できるこの手法は、現代の福祉用具製作において極めて合理的な選択肢となっていると考えられます。

介護ロボットや移動支援機器の駆動ユニット開発

少子高齢化が進む中で、介護者の負担を軽減するパワーアシストスーツや、自動走行する車椅子などの開発が加速しています。これらの機器には小型で高出力なモーターや複雑なギヤを組み合わせた駆動ユニットが搭載されており、その部品製造には高い精度が要求されます。各ユニットを構成するフレームやブラケットなどは、軽量化のためにアルミ合金などが選ばれることが多く、切削加工によって肉抜き加工や細かな穴あけが行われるのが一般的です。ロボットの円滑な動きを実現するためには、部品同士の嵌合(かんごう)精度を極限まで高める必要があり、マシニングセンタなどによる精密な加工がその品質を支えています。人との接触を前提とした機器であるからこそ、加工バリの徹底した除去など、安全性に配慮した仕上げ工程も重要な要素として含まれるでしょう。

医療・福祉用具における切削技術・加工機の選定基準

複雑形状・難削材の加工に適した「5軸加工機」と「マシニングセンタ」

医療・福祉分野で用いられる金属部品は、人体に合わせた複雑な曲面を持つことが多く、従来の3軸加工機では何度も段取り替えが必要になるケースも珍しくありません。こうした課題を解決するために、5軸加工機を導入することは、加工時間の短縮と精度の向上を同時に実現する有効な手段となります。5軸制御により、複雑な形状であっても一度のクランプで多方向からアプローチできるため、継ぎ目のない滑らかな曲面を効率的に作り出すことが可能です。特に、難削材であるチタンやステンレスを加工する際には、安定した剛性を持つマシニングセンタを選定することで、工具の振動を抑えて良好な仕上げ面を得ることができるでしょう。高度な形状再現性と素材への適応力が求められる現場において、これらの高性能な加工機は非常に心強い設備となると言えます。

PP・PE・EVA等の樹脂加工において高い生産性を発揮する「NCルータ」

福祉用具の製作現場において、比較的サイズが大きく、かつ柔軟な樹脂材料を加工する場合には、NCルータの選定が推奨されることが多いです。NCルータは広い加工テーブルを持つものが多く、大判の樹脂シートから複数のパーツを効率よく切り出す作業に適しています。また、マシニングセンタと比較して高速な主軸回転を得意とする傾向があり、PPやEVAといった軟質樹脂であっても、熱による溶着を防ぎながらシャープな切り口で仕上げることが可能です。掃除のしやすさや集塵効率に配慮した設計の機種を選ぶことで、樹脂屑が飛散しやすい環境でも清潔な作業空間を維持しやすくなるでしょう。多品種のカスタム製作をスピーディーに行う必要がある福祉分野において、NCルータはコストパフォーマンスと生産性を両立させる重要な設備の一つです。

衛生面を考慮したドライ加工とクリーンな作業環境の構築

医療や福祉に関連する製品の加工では、最終的な製品に油分や不純物が残らないよう、衛生面への配慮が厳格に求められます。そのため、加工時には極力切削油を使用しない「ドライ加工」や、最小限の油分で加工を行う「MQL(セミドライ加工)」を採用することが望ましいとされるケースが増えています。油剤の使用を控えることは、洗浄工程の負荷を軽減するだけでなく、環境負荷の低減や作業スタッフの健康維持にも繋がるという側面があるでしょう。また、加工機自体をクリーンルーム内に設置したり、強力な集塵システムを完備したりすることで、外部からの異物混入を防ぐ体制を整えることも検討すべき重要なポイントです。

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NCルータ導入時に検討すべき
おすすめメーカー3選


何かあった際にすぐにサポートに来てくれる「国産メーカー」の中から、
自社の希望に合ったNCルータを見つけられるよう「NCルータ製品数」の多い3メーカーをピックアップ。
それぞれのNCルータの特徴を紹介していきます。

SHODA
日本で唯一(※)の
NCルータ専門メーカー
SHODAのHPキャプチャ画像
SHODAのおすすめポイント
  • 信頼性の高い高精度なNCルータ。プラスチック、セラミック、軽金属加工の実績あり
  • 5軸同時制御での樹脂立体製品加工が得意
平安コーポレーション
大型、特殊NCルータを
得意とするメーカー
平安コーポレーションのHPキャプチャ画像
平安のおすすめポイント
  • 木造建築プレカット加工機がメイン商品
  • 大型専用機の製作が得意
シンクス
総合木工機械メーカーとして
NCルータを生産
シンクスのHPキャプチャ画像
シンクスのおすすめポイント
  • 切断機(パネルソー、ランニングソー)の実績あり
  • 穴あけ機械の製作が得意

Google検索にて「NCルータ メーカー」で調べた際(2021年10月27日時点)に上位に表示される5社の中から
・国産メーカー
・NCルータの製品数が多い3社
をおすすめのメーカーとして紹介します。
※その中で唯一、NCルータのみを製造している企業。

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