切削加工機メディア~切削ナビ~

切削加工機メディア~切削ナビ~ » 切削加工機の基礎知識 » 切削加工のバリの原因と対策

公開日: |更新日:

切削加工のバリの原因と対策

切削加工などの金属加工について考える際、バリの問題を避けて通ることはできません。ここでは、バリの原因と対策について紹介します。自社のニーズに合う切削加工機を選ぶためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。

バリとは

バリとは、切削加工の過程で発生した意図しない突起や残留物のことです。「かえり」または「かえし」と呼ばれることもあります。

柔らかい粘土を引きちぎろうとすると伸びながら千切れ、千切れた部分にギザギザとした不連続な形状が観察されます。同様に、金属においても切り取られる部分が離れていくときに塑性変形を起こし、引き延ばされながら千切れた部分が突起となって残ります。これがバリです。切削加工を行う上で、多少なりともバリは発生すると心得ておきましょう。

バリの原因

ワークが押し込まれた場合

ワークが削り切れずに工具で押し込まれてしまうと、変形した金属がもとに戻らない状態となる塑性変形を起こすことがあります。ワークの一部が変形することで、バリへと変化します。

ワークが逃げてしまった場合

ワークが工具から逃げてしまうことが原因で、弾性変形が発生しバリへと変化します。弾性変形とは、変形した金属がもとに戻ろうとする状態のことです。

ワークの切粉が切断できない場合

ワークの粘りが高く切粉が切断できない場合、その一部がワークの外側に押し出されてバリへと変化してしまいます。

バリによる課題

加工精度が低下する

バリが発生することで、加工精度の低下を招きます。正しく加工を行ったとしてもバリがあると寸法が正確にならないためです。また、バイスやクランプなどの治具にバリを噛みこんでしまうことで加工面が傾き、加工不良の原因になります。

組み立てのときにバリが存在していたり、バリが剥がれて部品同士の間に挟まったりすると、組み立て時の精度の悪化にもつながります。出来る限り、バリは発生直後に除去するようにしましょう。

製品寿命の低下や不良品の発生

バリの存在に気付かず製品に組み込んでしまうと、製品寿命の低下や不良品の流出を引き起こす可能性があります。機械部品の組み付けや摺動が悪くなり故障が発生。電気部品ではショートが発生するなど、さまざまなトラブルの原因にもなりかねません。

またバリが別の部品に当たったり、オイルに流されたバリが外れて流路を塞いだりしてしまうと、製品の早期の摩耗・劣化につながります。

作業者や使用者が怪我をする場合がある

バリは鋭利で尖った形をしていることも多いです。そのためバリを放置したまま組み立て工程へ流すと、作業者の怪我につながる恐れもあります。また、そのまま気づかれずエンドユーザーのもとまで運ばれてしまうと使用者が怪我をするリスクも。製造物責任法に関わる重大問題になってしまう可能性があります。

バリの対策法

適切な素材を選定する

切削加工の段階でバリの発生を抑えることが大切です。そのためには、加工に塑性変形しづらい素材を選定することでバリの抑制になるでしょう。ただし、塑性変形を起こさないような素材は加工が難しくなりがちです。またバリの抑制を優先して素材が決定されるケースはあまりなく、解決策としては限定的です。

加工面の形状を変える

バリは、鋭角のエッジで大きくなりやすいという特徴があります。そのため、加工面の形状を変えて鈍角化することでバリの発生を防ぐことができます。バリを抑制するためにはRをつける、面取りをする、加工部を平面にするなどの加工が有効でしょう。

加工の条件を変える

切削条件を変えてバリを小さくすることも可能です。回転工具の送り方や向きによってもバリの大きさは変わってきます。また、切り込み量や送り速度を下げたりすることで塑性変形を小さくする効果が期待できます。結果としてバリの発生を抑えられるでしょう。

まとめ

バリは切削加工で避けて通ることができません。バリの発生要因にはさまざまなものがありますが、バリそのものが発生しにくい加工工程にすることが大切です。バリを少しでも減らし、切削加工の技術向上に努めましょう。

関連ページ

切削加工機メディア~切削ナビ~

切削加工機の基礎知識
切削温度とは
切削加工における治具とは?
切削加工における「ひずみ」とは?
切削加工の
メリット・デメリット
切削加工の材料
切削加工によるねじ切り加工
切削加工と旋削加工のちがいとは
切削工具の種類はどう違うの?
切削加工における注意点
切削加工ができない形状はある?
切削条件を最適化する方法は?
切削加工のビビりの原因と対策
切削加工のむしれの原因と対策
切削加工における加工不良
切削加工におけるツーリングとは?
切削加工で発生する残留応力とは?
切削加工機の種類
切削加工の加工精度
切削機械に使用する油の役割
切削加工機に使用できる補助金制度
切削加工のチッピングの原因と対策
切削加工とは
切削加工で発生する切粉とは
切削加工における溝加工
切削加工の溶着の原因と対策
切削加工の加工硬化の原因と対策
切削加工と研削加工の違い
切削加工の表面粗さの原因と対策

NCルータ導入時に検討すべき
おすすめメーカー3選


何かあった際にすぐにサポートに来てくれる「国産メーカー」の中から、
自社の希望に合ったNCルータを見つけられるよう「NCルータ製品数」の多い3メーカーをピックアップ。
それぞれのNCルータの特徴を紹介していきます。

SHODA
日本で唯一(※)の
NCルータ専門メーカー
SHODAのHPキャプチャ画像
SHODAのおすすめポイント
  • 信頼性の高い高精度なNCルータ。プラスチック、セラミック、軽金属加工の実績あり
  • 5軸同時制御での樹脂立体製品加工が得意
平安コーポレーション
大型、特殊NCルータを
得意とするメーカー
平安コーポレーションのHPキャプチャ画像
平安のおすすめポイント
  • 木造建築プレカット加工機がメイン商品
  • 大型専用機の製作が得意
シンクス
総合木工機械メーカーとして
NCルータを生産
シンクスのHPキャプチャ画像
シンクスのおすすめポイント
  • 切断機(パネルソー、ランニングソー)の実績あり
  • 穴あけ機械の製作が得意

Google検索にて「NCルータ メーカー」で調べた際(2021年10月27日時点)に上位に表示される5社の中から
・国産メーカー
・NCルータの製品数が多い3社
をおすすめのメーカーとして紹介します。
※その中で唯一、NCルータのみを製造している企業。

【PR】
切削粉塵を出さない
切削加工機