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さまざまな種類の材料を加工することができる切削加工。対象となるワークは金属のみ、という印象をもっている人がいるかもしれません。けれども、実際には、樹脂などの加工にも対応しています。切削加工の対象となる、主な材料をみていきましょう。
一般的な鉄鋼材料は、切削加工の対象材料の典型例です。また、鉄鋼材料に切削加工と焼き入れなどの表面処理の両方を施したい場合には、切削加工を先に済ませておくようにしましょう。焼き入れをすると、硬くなってしまうため、加工が難しくなるからです。
重量があまりない割には強度が高いアルミ。その扱いやすさから、多岐にわたる分野で用いられています。また、切削加工ができる金属の材料の中でも、アルミは、削りやすい部類に属します。切削加工に要する時間がそれほどかからないだけでなく、使用する工具への負担も抑えられるからです。
注意点としては、延びやすく融点が低い性質なので、高温になると、工具にくっつきやすくなってしまうことです。場合によっては、冷却しながらの加工が必要になります。
耐熱性や熱伝導性などが優れている材料として知られている銅合金。バルブやそのその他精密機械などに使用されています。黄銅・アルミニウム青銅・クロム銅など、種類はさまざまです。上述のアルミに次いで、切削加工をほどこしやすい材料だといえるでしょう。また、銅合金もアルミと同じで、やや延びやすい性質があるので、できればあまり時間をかけずに加工をすませたいところです。
アルミや銅合金などと比較すると、チタンは切削加工の難易度が高めになります。工具の摩耗が進みやすいだけでなく、切削加工中に生じる切りくずが発火したり、あるいは作業時に加わる力による変形が起こりやすくなるなどの問題があるからです。とはいえ、チタンという材料の性質が、かつてよりも明らかになっている最近においては、チタンの切削加工がしやすい工具も出てきています。
ABS樹脂は、酸性・アルカリ性のいずれにも強く、表面硬度が高い熱可塑性樹脂です。この特徴を活かし、医療機器や食品機器の部品などに多く使用されています。便利な材料ではありますが、耐熱性があまり高くないことへの考慮も大切です。切削加工をおこなうと、切削抵抗で温度が高くなりすぎる場合があります。
ただ、ポリカーボネートという樹脂材料は、ABS樹脂と同様に熱可塑性の樹脂ですが、耐熱性が優れているという特徴があります。そのため、工業分野で多く使用されています。
加工に適しているとはいえない難削材。あまりに硬い材料がその代表的なものです。
一般的な鉄鋼材と比較すると、一部のステンレス鋼はとても硬いため、加工に時間がかかるだけでなく、工具への負担も大きくなりがちです。さらに、熱伝導率が低いため、加工の際に生じる熱がたまりやすいという問題もあります。
硬度があまりに高いため、摩擦が生じ、刃物がすぐに使い物にならなくなってしまいます。ひんぱんに刃物を交換する必要が生じるため、コスト面への影響が大きすぎるといえるでしょう。
鉄よりも高い強度をもつカーボン。この特性を活かし、産業用のロボットや自動車、さらに航空機などにも使用されている材料です。カーボンも、その硬さゆえ、工具に与えるダメージが大きいです。また、加工時にキリコが生じる点にも要注意です。設備内に入ってしまわないようにするための、専門の設備を使う必要があります。
焼入れ処理が施された対象物は、硬度が高くなっています。そのため、工具に大きな負担がかかってしまうことになります。
材料との相性によって、ひとくちに加工機といっても向き不向きがあります。適性を考慮に入れずに導入してしまうと、加工に時間がかかりすぎたり、工具へのダメージがあまりにも大きすぎたりするため、かりに製品のクオリティーを保つことができたとしても、トータルとしてはかなりのコストがかかってしまうケースもあります。
加工の対象となる材料にはさまざまな性質があります。加工機の機能とコストのバランスを見極めつつ、材料に適した加工機を選ぶことが大切です。
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