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切削加工において問題となる「むしれ」について解説しています。むしれが発生するおもな原因や、むしれによって引き起こされる問題、そしてどのような対策が有効であるかをまとめました。
工具が摩耗したり、あるいは構成刃先によって切削能力が低下してしまったりすると、ワークを削るというよりも「むしりとる」ような加工をしてしまうようになります。そうなると、切くずをさばききれなくなり、切削面に「裂け」ができます。この状態のことを、むしれといいます。
むしれが発生しやすくなる主な原因としては、次のようなものがあげられます。
切粉の排出がうまくいかないと、切粉が干渉する状態になり、工具とワークの切削面との間に、むしれができてしまいます。
切りくずがくっつくことで新たな刃先となってしまう、いわゆる「構成刃先」ができると、それが付着したり剝がれたりします。それが切削面に影響し、むしれができてしまうのです。
切削工具の摩耗がひどくなると、工具が本来持っている切削能力をしっかりと発揮することができず、切削能力が低下します。切削能力が低下すると、適切にワークを削り取ることができないので、むしれが発生してします。
チッピングなどの小さな欠けも、むしれの原因となります。切削能力がさがってしまうので、ワークをしっかりと切削できなくなってしまうのです。
むしれができているということは、つまり、切削工具に何らかの問題があるわけです。摩耗や欠け、構成刃先などがある状態では、どうしても切削能力が低下してしまいます。
むしれは、加工面品位を悪化させます。荒加工の場合には仕上げ方次第で対処できます。けれども、仕上げ作業自体がむしれの原因となってしまう場合は、加工面品位の悪化は避けられません。
切削すべきではない部分まで削ってしまう可能性も生じます。その結果として寸法精度が低下すると、その後の工程で対処が必要になるなど、何らかの悪影響をおよぼしてしまいます。
むしれを防止するための対策として、次のようなものがあげられます。
切粉の排出性を計算に入れてパスを設定することで、むしれを防ぎやすくなります。深さのある穴や溝を加工するときには、連続加工を避けるようにしましょう。
切削負荷をおさえるために切削条件をゆるめるのも、ひとつの対策方法です。生産効率は下がってしまいますが、工具の摩耗や欠けなどを抑制できるので、むしれを防ぎやすくなります。
耐摩耗性をアップさせるために、切削工具をコーティングするのも、ひとつの方法です。工具の切削能力を維持しやすくなるため、むしれ予防につながるわけです。
もちろん、用途に適した工具を選定することも大切です。たとえば、荒加工においては剛性の高い工具を採用するべきですし、仕上げ加工をする際には、切れ味が鋭くて高い精度の加工が可能な工具を採用するようにしましょう。
切削加工が工具にどのくらいの負荷をかけているかを確認する方法もあります。電流値や音波などを併せてインプットし、そのデータを可視化するシステムを利用すれば、それが可能になります。データをもとに、たとえば一定の水準に達した場合には装置が停止するように設定するなどの対策をとることができるわけです。
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