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加工現場で欠かせない「切削条件」。切削速度、回転数、送り量、切り込み量など、各パラメーターの条件設定を最適化することは、加工精度や工具寿命、生産性の向上に直結します。本記事では、切削条件を最適化するために知っておきたい情報をまとめているので、参考にしてみてください。
切削条件とは、工作機械で加工を行う際に設定する各パラメーターの総称です。具体的には、工具の表面が1分間に移動する速さ(切削速度)、工具自体が1分間に回転する数(回転数)、加工対象に対して工具が進む速度(送り速度)、工具が一度に材料に侵入する深さ(切り込み量)などが挙げられます。
切削条件が加工結果に与える影響は大きく分けて3つあります。
切削条件の設定が最適化されている場合、工具が材料に正しく当たり、均一かつ高精度な仕上がりを実現できます。逆に切削条件の設定が不適切だと、製品の寸法誤差や表面の粗さが生じるので注意が必要です。
また、切削速度や送り速度を適切に設定することで、工具の摩耗や破損を最小限に抑えられるほか、加工時間の短縮やエネルギー消費の削減、ひいては生産性向上につながります。
切削条件は、フライス盤で加工するか、旋盤で加工するかによって求め方や考慮すべき点が異なるものです。以下では、各パラメーターの役割を解説しているほか、シミュレーション例を交えながら値の決め方(計算式)を分かりやすく解説しています。
材料を切り出す際に工具の表面が1分間にどれだけ移動するかを示す値です。単位は通常「メートル/分」で表されます。適切な切削速度を設定することで、熱の発生を抑え、工具や被削材の損傷を防ぐことができます。
例えば、フライス加工の場合、工具の外径が20mm、回転速度が1,500rpmと仮定してみましょう。この場合、計算式は「(20 × 1500 × π) ÷ 1,000」となり、1分間あたりの切削速度は約94.2mとなります。
旋盤加工の場合も、ワーク直径が50mm、回転速度が1,000rpmと仮定してみます。計算式は「(50 × 1000 × π) ÷ 1,000」となり、1分間あたりの切削速度は約157.1mになる計算です。
回転速度は、工具またはワークが1分間に何回転するかを示す値(rpm)です。切削速度と工具(またはワーク)の直径の関係から求めます。回転数が高すぎると工具が急速に摩耗し、回転数が低すぎると加工効率が低下するため、バランスが大切です。
例えば、フライス加工で目標の切削速度を90m/min、工具外径を20mmと仮定した場合、計算式は「(90 × 1,000) ÷ (π × 20)」となります。そこから算出される回転速度は約1,432rpmです。
旋盤加工でも同様にシミュレーションしてみましょう。目標切削速度を150m/min、ワーク直径を50mmと仮定した場合、計算式は「(150 × 1000) ÷ (π × 50)」となります。底から算出される適切な回転速度は約955rpmです。
工具が加工対象に対して進む速さを表し、通常は「mm/回転」や「mm/分」で表記されます。送り速度は、加工中に工具が一度に削る量に大きく影響するため、切り込み量と合わせて設定することが大切です。送り速度が適正であれば、工具が材料を均一に削り出すため、加工品質が向上します。
フライス加工の場合、1刃当たりの送り量が0.1mm、使用する工具が4刃、回転速度が1,500rpmと仮定してみます。計算式は「0.1 × 4 × 1,500」となり、そこから導かれる適切な送り速度は600mm/minとなる計算です。
旋盤加工の場合、1回転あたりの送り量を0.2mm、回転速度を1,000rpmと仮定してみます。計算式に当て込むと「0.2 × 1,000」となるため、送り速度は200mm/minになる計算す。
切削工具の切れ刃が被削材に当たる部分の長さを切り込み d(mm)といいます。切り込みが大きいほど加工時間は短くなりますが、切削抵抗も大きくなり工具の高温化を招くので注意が必要。工具の素材や被削材の材質に左右されるため、切り込みを決める際は少なめの切り込みから徐々に増やしていくことが重要です。
切り込み量には明確な計算式がありません。切り込み量は工具と被削材の特性、加工目的に応じて経験値やメーカーの推奨値を基に設定してください。
フライス加工の切り込み量 (ap) は、工具の形状、被削材の硬さ、機械の剛性などを考慮して設定します。旋盤加工の切り込み量 (ap) もまた、工具の耐久性やワークの反り、振動の発生などを考慮して設定するのが一般的です。
切削条件は、切削加工の品質や生産性に直結する重要な要素です。基本パラメーターを正しく理解し、現場の状況に応じた条件設定を行い、加工精度の向上、工具の長寿命化、さらには生産性の向上を目指しましょう。
また、切削加工機の問題で設定できる値に限界がある場合は、幅広い切削条件に対応できる機械の導入を検討してみてください。
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