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このページでは、加工精度について解説しています。精度の測定方法や、制度に影響を与えてしまう可能性のある「熱」「振動」「設備」などといった要素についても、まとめました。適切な加工機選びのヒントとして、ぜひお役立てください。
製品を加工した後の「品質レベル」を示す尺度のことを、加工精度といいます。加工精度を測定する際は、3次元測定機やマイクロメーターなどといった、寸法測定用の機器が必要になります。また、寸法を表すための単位にはμあるいはmmが用いられます。
非常に細かい単位で加工精度を測る必要がある製品として、医療機器や電子部品、半導体装置、自動車部品、モーター部品、FA装置などが挙げられます。誤差のない組み立てをするためには、かなりの水準の精度が要求されるため、切削加工が必要となるわけです。切削加工をほどこす際には、次に述べるように、仕上がりに影響を与えてしまう要素もあるので注意が必要です。
金属をはじめとするさまざまな物体には、熱により膨張していく性質があります。ですから、切削加工機を稼働させる際に、部品が熱を帯びると、ワークにもその影響が及んでしまうのです。当然、切削加工機を稼働させる時間が長くなればなるほど、その影響は大きくなります。ですから、稼働時間と温度の関係を把握した上で加工実施することが求められます。そして、ワークを測定する際には、温度管理が行き届いた測定室にておこなわれねばなりません。
振動も加工精度に影響を与えます。その影響を抑えるために、切削加工機によるワークへの加工は、コンクリートが敷き詰められているスペースでおこなうなど、なんらかの工夫が求められます。
設備が古いと、どうしても加工精度においてはマイナスになる場合が多いです。また、治具の取付などにも注意が必要です。ブロアーでキリコがきれいに取り除けていないと、ワークにキリコが挟まるなどの問題が生じます。そうなると、加工精度が下がってしまいかねません。
加えられた力によって、物体は変形しようとする性質がありますが、変形に抵抗する性質も持ち合わせています。ですから、切削加工をおこなう際には、切削加工機自体の剛性を計算にいれておかねばなりません。
もちろん、力が加えられることによる変形が実際におよぼす影響は、それほど大きなものではない場合もあります。けれども、ミクロンオーダーなど、ねらいどおりの高精度で加工をおこなわねばならない場合には、加工精度がさがってしまうのは問題です。ただ、最近の工作機械は、かつてのものと比較すると、剛性への対応がかなり進んできているようなので、そうした工具のラインナップを詳しく調べておくのもよいでしょう。
製品を高い加工精度で仕上げるためには、加工精度へ影響を与える可能性があるさまざまな要素について、まずは把握しておくことが大切です。そのうえで、目標の精度をクリアするために適した加工機を選ぶようにしましょう。また、加工機の特性に合うように、パラメータの微調整をおこなうなどするためのスキルや知識も大切です。
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