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ワークをさまざまな形状に仕上げられる方法として知られている切削加工ですが、加工がかなり難しい素材と形状があります。
このページでは、そのような素材と形状のほかに、加工を困難にしている原因について紹介しています。また、対応方法もあわせて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
切削加工をほどこすのが困難な素材として、超硬材やカーボンなどがあげられます。
硬度があまりに高い素材は、摩擦によって刃物がすぐに使えない状態になってしまいます。刃物の寿命がかなり短くなるので、切削加工には不向きだといえます。
超硬材と同様、カーボンも工具の摩擦が激しいです。バリや剥離が発生しやすい素材なので、切削加工には適しません。
切削加工が困難な形状として「ピン角」「アンダーカット形状」などがあげられます。それぞれの困難な理由を踏まえたうえで、加工を可能にするための対処法について解説していきます。
丸みのない、エッジが尖った角部のこととピン角といいます。凸型であれば切削加工は可能ですが、凸型のピン角の場合は不可能です。
切削加工では、エンドミルを回転させながら、素材を削っていきます。ですから、上から見下ろすと、円形に見えるわけです。エンドミルを動かして折り返すところの形状は円弧状になり、これを「隅アール」と呼びます。隅アールを小さくするには、小さいエンドミルを使うことになります。ですが「隅アールゼロ=ピン角」にすることはできないのです。
どうしてもピン角が要る場合には、スロッターを使ったりワイヤーカット工法を採用したりして、加工をすることになります。
アンダーカットという形状も、切削加工では対応するのが困難です。アンダーカットとは、エンドミルが届かない陰になる部分にある形状のことですが、この場合、どこから加工しようとしても。手前の形状が邪魔になってしまいます。
アンギュラカッターやアンギュラアタッチメント、5面加工機などで対処することになります。アンギュラカッターであれば、回転軸よりも横に刃が突き出ているので、横にくぼんだ形状であっても加工が可能なのです。また、アンギュラアタッチメントは、主軸に設置することで、エンドミルの向きを変更できるアタッチメントです。
金型製作などの際によく採用される加工方法として知られているものに「形彫放電加工」があります。この加工方法で対応することができます。
銅やグラファイトで、つくりたい形状を反転させた形状をつくります。これを電極とします。次に、形彫放電加工機に電極とワークをセットし、通電しながらワークに押し付けます。発生するアーク放電で、電極の形に彫り込んでいくのが、形彫放電加工の原理です。
電極をつくった上で、それに加工をほどこしていくわけですから、どうしてもコストは高くなってしまいます。
アンダーカットのポケット部分の加工を、それほどの高精度でおこなう必要がないのであれば、3Dプリンタを組み合わせる方法も検討してみてください。
ただ、金属の3Dプリンタを使うとなると、切削加工よりもコストは高くなってしまいます。また、対象となる材質もかなり限られてしまうというデメリットがあることも把握しておく必要があります。
各部分を別々につくってから、それらを溶接するという対応の仕方もあります。設備部品などにおいては、一般的な方法です。
ただ、素材が溶接に適しているかどうか、そして溶接による変形をどうするのか、といった点に関する処理方法についても、あらかじめ図面に盛り込んでおく必要があります。
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