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家電・OA機器の開発では、精度と外観品質を両立した樹脂切削加工が重要な役割を担います。本記事では、ABS・PC・PMMAといった材料特性を踏まえながら、評価用パーツや筐体製作に適した切削加工の考え方と技術選定のポイントを解説します。
家電やOA機器の設計において、ABS樹脂はその優れた機械的特性のバランスと加工性の良さから、筐体の評価用パーツとして広く活用されています。
また、ポリカーボネート(PC)は高い耐衝撃性と耐熱性を備えているため、内部の可動部品や強度が求められる機能部品の検証に重宝される素材です。一方で、透明性が重要視される表示パネルやセンサーカバーの評価には、アクリル(PMMA)が欠かせない存在となっています。
これらの素材は切削加工によって、金型成形品に近い物性を維持したまま精密な形状を得ることが可能です。
加えて、製品検査や組み立てに用いる治具製作においても、これらの素材は寸法安定性が高く、繰り返しの使用に耐えうる信頼性を確保するのに役立つと考えられます。
開発の最終段階や、特定のBtoBニーズに応えるカスタマイズモデルの製造では、数十から数百個単位の小ロット部材が必要になる場面が多々あります。
このようなケースにおいて、高額な金型製作を回避できる切削加工は、初期投資を抑えつつ迅速に部品を調達するための有力な選択肢です。
また、量産を開始した後に一部の設計変更が生じた際、既存の成形品に対して追加工を施すことで、在庫を無駄にせず仕様変更へ柔軟に対応できる点も大きなメリットでしょう。
特にOA機器のような部品点数が多い製品群では、パーツ間の微調整が頻繁に発生するため、必要な時に必要な数だけ高精度な部材を供給できる切削加工の機動力は、開発サイクルの短縮に大きく寄与します。
筐体の上蓋と下蓋が重なる部分や、ボタン類の差し込み部において、0.01mm単位の寸法誤差は製品の操作感や剛性感に顕著な影響を及ぼします。
3Dプリンターなどの積層造形では難しい、非常に厳しい寸法公差を切削加工であれば安定して実現することが可能です。
特に複雑なリブ構造やボス形状を伴う内部構造においても、ツールパスの最適化によって正確な肉厚や形状を維持できるため、実際の量産品に近い状態での嵌合評価が行えます。
これにより、量産金型を起工した後に「パーツが組み合わない」といった重大なトラブルを防ぎ、設計変更の戻り工数を最小限に抑えることが期待されます。
正確な嵌合評価を行うためには、評価対象となるパーツを固定する治具の精度も同様に重要となります。部品が歪んだ状態で固定されてしまうと、正しい検証が行えず、設計ミスを見逃してしまうリスクが生じるためです。
切削加工によって製作された高精度なベースプレートや位置決め治具は、熱膨張や経時変化の少ないアルミ合金や高機能樹脂を用いることで、長期間にわたって高い測定再現性を維持してくれます。
このような治具を活用することで、複数の開発担当者が同一の基準で製品を評価できるようになり、組織全体での品質管理レベルの向上につながるでしょう。
また、生産ラインでの組み立て効率を高めるための専用治具も、切削加工であれば現場の細かな要望を反映した形状へと迅速に作り込むことが可能です。
アクリル(PMMA)を用いた透明パーツの製作では、切削後の曇りやツールマークをいかに抑えるかが技術の見せ所となります。
高回転の主軸と鋭利なダイヤモンド工具を用いた精密切削を適用することで、後工程の研磨負荷を軽減しつつ、ガラスに近い高い透明度を実現することが可能です。
一方で、ポリカーボネート(PC)は耐熱性を備えた素材であるものの、切削加工では摩擦熱による局所的な軟化が起こりやすく、表面の溶融や白濁を招く場合があります。そのため、適切な冷却と切りくず排出の管理が重要となります。
素材ごとの特性を熟知した加工条件の設定により、微細な切削目を意図的に残して質感を調整したり、逆に鏡面のような平滑性を得たりと、デザイナーが求める理想の質感を忠実に再現することが可能になるでしょう。
家電製品の外装部品では、切削加工の後に塗装やメッキ、あるいは特殊なコーティングを施すことが一般的です。これらの後処理を成功させるためには、下地となる切削面の粗さを一定の範囲内に制御し、塗料や皮膜の密着性を高める工夫が必要となります。
例えば、ABS樹脂の筐体においてエッジ部分のバリが残っていると、メッキが不均一になり剥離の原因となるため、高度なバリ取り技術と面取り処理が欠かせません。
また、シボ加工を模したテクスチャを切削で直接彫り込む手法もあり、金型製作前に最終的な外観イメージをより具体的に確認することが可能になります。このように、最終工程を見据えた表面制御を行うことが、プロトタイプから量産へとスムーズに移行するための重要な鍵となるのです。
薄肉化が進む現代の筐体設計において、加工中の振動や熱変位を抑えることができる剛性の高いマシニングセンタの活用が推奨されます。
特に、多数の面から加工が必要な複雑形状の部品については、5軸制御マシニングセンタを用いることで、ワークの付け替え回数を減らし、累積誤差を最小限に留めることが可能です。
これにより、複数のパーツを組み合わせた際の位置精度が格段に向上し、意図した通りの嵌合を実現しやすくなります。また、クランプ方法についても、真空チャックや特殊な治具を併用することで、樹脂特有の歪みを抑えた精密な削り出しが行えるようになります。
高品質な評価用パーツを安定して得るためには、加工機自体の性能だけでなく、それを取り巻く工場の管理環境にも注目する必要があります。
樹脂は金属に比べて温度変化による伸縮が大きいため、恒温管理された環境での加工は、寸法精度を維持するために非常に有利な条件となります。
また、微細な意匠形状や薄肉部を美しく仕上げるためには、高速回転が可能な主軸を備えた機械を選定することが、加工時間の短縮と表面粗さの向上を両立させるポイントです。
短納期が求められる開発現場においては、CAD/CAMデータの処理能力や、加工現場の技術者が設計意図を正しく汲み取れるコミュニケーション能力も、重要な選定基準の一つとなると考えられます。
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